野田ちほのOfficial Web Magazine

Vol.1 ウユニへ行こう!感動と苦しみの交錯するハネムーン

 

                                     サン・ペドロデ・アタカマの街

 

東京を発ち、南回りでシドニー経由イースター島の上を抜け、チリのサンチャゴに到着。

ここまで30時間超である。同日、さらに国内線に乗り換えようやく到着した

サン・ペドロ・デ・アタカマは、世界一乾燥し世界で一番星が綺麗といわれる

アタカマ砂漠の西端にあるチリで一番古い街だ。

標高約2,400mのちょっとした高地であるこの街を起点に、ンデス山脈を超えて

ウユニに向かう。

 

夫はウユニへの旅は2回目だったが、初めてのアンデス越えを楽しみにしていた。

いろんなところを旅してきた中でも、ウユニの美しさ、感動を一緒に味わいたい、

私が喜ぶだろうと思っての提案だったそう。

「憧れのウユニ!!一度は行ってみたい。あのウユニについに!」と私は即大賛成。

私自身、海外には独身時代に数多く行っていたが南米は初めてだった。

ただこのとき、高地とはどういうものか全くわかっていなかった。

 

アタカマのホテルに到着し、長旅の疲れですぐに眠りについた。

翌朝、起き上がろうとすると頭がぐるぐる回るような眩暈と吐き気に襲われ

立ち上がれない。これが高山病なのだろうか。

 

午前に申し込んでいたツアーは、私がこんな状態のため涙をのんでキャンセル。

夫はスペイン語会話の本を抱え、四苦八苦しながら街の薬局で高山病の薬やコカ茶を

買ってきてくれた。日本では高山病の薬には処方箋が必要だが、チリでは薬局で買える。

夫も一緒に服用した。

実は、夫も高山病で頭痛が酷かったのを後で知ることになるが、それどころではない私を

何も言わず気遣ってくれていた。

 

コカ茶のコカとは、麻薬のコカインが原料だ。チリやボリビアでは、非常にポピュラーで

街の至るところで売っている。少し苦味があるが、私はハーブティー感覚で飲めた。

現地の人はコカ茶に砂糖を入れて飲むようだ。乾燥させたコカの葉そのものにお湯を注ぐ

タイプやティーバック、コカ・キャンディーなどもある。高山病に効くということで、

私はひたすらコカ茶を飲み、車中ではコカ・キャンディーを頬張る。

茶色いハーブキャンディーといった感じで、疲労回復や眠気覚まし、高山病対策で

古くから現地の人にも親しまれているそう。

 

少しゆっくりした後、午後からのツアーのバスに乗りこむも、すぐに嘔吐。

「もうだめだ」と私は絶望的な気持ちになる。初日はホテルでゆっくり休むことにした。

横になっていると体に取り込む空気が薄くなるので、辛くてもとにかく起き上がっている

必要がある。ソファやベッドに腰掛け、お茶を飲みつつ休んだ。

せっかくのハネムーンの初日から何も行動できないなんて想定外。

 

夫の横で何度も吐くは具合も悪いしはで、申し訳ないやら情けないやら……。

落胆もさぞ大きかっただろうが、あれこれ言わずそっとビニール袋を差し出し

優しく寄り添う夫。

 

これからもっと高地へ行くというのに初日からダウンした私の様子から、あの時実は早々に

帰国することを覚悟したと、後に夫が告白した。

 

Vol.2に続く >>

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